海外生活においては日本では体験出来ない事がよく起きます。
お遊びが過ぎて愚息が痒い、膿が出るなんてことになると日本では恥を忍んでお医者さんのお世話になり抗生物質を処方してもらうわけですがここ東南アジアであれば普通の薬屋さんでも抗生物質は手に入ります。基本的には処方箋が必要なのですがいろいろと裏技があるようです。
もちろんきちんと診察を受けて菌を完全に殺してしまう必要があるのでお勧めはしませんが・・・・
さて私はというと左太腿の内側に赤い斑点が出来ています。
ニキビのように脂肪の塊でも無くなにやら怪しげな病気の発病のようにも見えます。怪しげな病気と言われると心当たりが無い訳ではありませんが原因は知っています。
その日もいつものように仕事をして現場作業場から事務所に向かって歩いていると左足に激痛が走りました。
『なんだ?』
『蜂か?』
ズボンの上から蜂が刺したのかと思いました。しかしその数秒後またもや激痛が「痛っ!」「痛っ!」
連続で痛みの個所が増えてきます。何が起きているのか待ったく理解が出来ません。
しかもその痛みは今までに経験したことのない痛みです。
左足を引きずりながら事務所に駆け込み一気にズボンを脱ぎました。瞬間何やら細長い虫のようなものがポケットの袋の陰に見えました。
頭の中では『毛虫かな?』と理解しようとしていますが明らかに毛虫でないことは分かっています。
近くにいた女子事務員はいきなりズボンを脱ぎ棄てた私を見て驚いています。
さすがにとっさの場面では日本語だけで騒いでいる私の行為を理解できる訳がありません。強烈な痛みの中で下半身パンツ一丁の私も少し冷静になり、近くにいた従業員に事情を説明して脱いだズボンを調べてもらいました。
すると出て来たのはサソリでした。あのハサミを持っていて尻尾の長いスコーピオンと呼ばれるアイツです。
激痛は続いていたのですがサソリを見た瞬間「マジかよ。かなりやばいんじゃないの?」と思い血の気が引くのがわかりました。
しかしその従業員は「おっ!」の一言を発してそのサソリと踏みつけました。
そしてそのサソリをビニールの上に置き近くにあった木の棒でゴンゴンと潰し始めました。
頭の中では『サソリはここまでとどめを刺さないといけないのか』と勝手に理解していました。
反面それほどこいつは憎まれている奴という事は刺されたおれはどうなるんだと余計に恐怖を感じていました。
そしてその従業員は潰したサソリを左足の刺されたところに擦り込みます。
「痛てててててっ!何をするんだ!」より一層激痛が走ります。
従業員は「これで大丈夫だ」と言い放ちます。理解に苦しむ私に女性事務員も「心配しないで」と言っています。
『心配は無い』と言われても初めての経験なので全く安心できる訳がありません。
下半身パンツ一丁の姿でパソコンに向かいサソリを調べました。するとサソリは1000種類ぐらいいるが毒性の強い種類は25種類ほどでそれ以外は人間を致命傷にまで与えることは無いと出ていました。
現地人が大慌てをしないところを見ると毒性は強くないようなのでとりあえず様子を見ることにしました。ヒリヒリ、ピリピリとした痛みはあるのですが腫れとか息苦しさも出てこないので医者にも行きませんでした。
心の中ではベトナムでは極普通のことなんだと思っていました。
しかし翌日会社に行くと従業員達にサソリに刺されたという事が知れ渡っており口々に「大丈夫でしたか?」と聞いてきます。
つまり全く極普通のことではなかったようです(笑
刺されてから2週間ぐらい経ちますが刺された跡が非常に痒いです。